2011年ウィーン便り

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2011年のウィーン便り

12月のお便り

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皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか?

私は今、故郷の北九州に帰ってきています。
久しぶりに見る海が素敵です。

ウィーンに比べるとずいぶん穏やかで、過ごしやすいですね。
それでも久しぶりの冬の日本に戻ると、逆に慣れないのが、「家の中の寒さ」です。
ウィーンは外の気温が低いので、たいていのうちは家の中のどの部屋も暖房がきいています。玄関、シャワールーム、トイレなども暖かく、日本のように、お風呂に入る前に震えることもありません。 一日を通して暖房がきいているので、寒い朝、布団から出たくないなんていう気持ちと戦う必要もありません‥

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暖房している部屋とそうでない部屋を行ったり来たりするので、この温度の変化についていけないうちは風邪を引きやすく、要注意です。 寒いオーストリアの生活を通して、少々の寒さには強くなった気がしますが、日本の「寒い家の中」の暮らしにはかなりの覚悟がいります。

そんな日本での滞在もあと数週間となりました。

滞在中、東京・阿佐ヶ谷にある「日本福音ルーテルむさしの教会」というところで、クリスマスコンサートをさせていただきます。日本の教会でコンサートをするのはこれがはじめてです。

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ご存知のようにヨーロッパではイエス・キリストの降誕を祝うクリスマスはとても大きな意味を持っています。宗教的な意味ばかりでなく、この時期になると、「お互いの幸せ」を願う気持ちが町の中に特に強くあふれるような気がします。大切な家族や親戚の間だけでなく、近所の人たち、まったく知らない人にも、機会さえあれば、「クリスマスを通して、幸せな時間を持てますように」と、願いい、挨拶しあいます。

人の幸せを願うことができるという喜び

国や言葉の違いを超えることのできる、この大いなる想いを胸に抱き、皆様を教会にお迎えできることを楽しみにしております。

一人でも多くの方に聴いて頂きたいと、心から願っております。

森野由み


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11月のお便り

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皆様 お元気でいらっしゃいますか?

いかがおすごいでいらっしゃいますでしょうか?

こちらは、黄色く色づいた白樺の葉がちらちらと舞っています。
手袋やマフラーが欠かせなくなりました・・・

最近ちょっと珍しい体験をしました。

この日はウィーンでコンサートがある日でした。
雨が降っていたので、少し早めにうちを出て駅へと向かいました。普通ならホームの上で電車を待つのですが、雨をしのぐのに、駅舎の下で待つことにしました。

いつもはあまり人気のない駅なのですが、この日は少年たちがわいわいとふざけて遊んでいました。

こんなにたくさんの少年たちをここで見るのは初めてです。

するとそのうち、その中の一人で一番年上だと思われる少年‥といっても、私より大きいんですよ‥がわたしのほうへ寄ってきました。

“僕、この野球帽、売ってるんだけど、買いませんか? 15ユーロですよ。”

えっー、野球帽なんて‥しかも黒の‥?  必要ない旨伝えると

相手もなかなかで、

“ご家族で、いるような人はいませんか?”

それでも必要ないというと、

“電車が来るまでには時間があるから、気が変わったらいつでも声をかけてください”

といって離れていきました。 

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ところがしばらくすると、今度は、一番年少と思われる少年が近づいてきて、今度は何だろ‥と思っていたら、

“職業はなんですか”

あまりに突然すぎたので、“え、なぜ?”と訊くと、さっきの帽子売りの子が来て、“学校でさあ、将来何になりたいかっていうのが、課題で出てるんだよ。こいつは今探し中ってわけ。それで、いろいろ聞いて回ってるんだよ”と助け舟を出してきました。

そうしているうちに、その辺にいた少年たちがみんな集まってきて、ぐるっと囲まれてしまいました。

なんだかちょっと緊張しつつ、「歌い手」だということを伝えると、今度は質問の矢が四方八方から飛んできました!

“何を歌うの?”
“どこで歌うの?”
“舞台に立つの?”
“何語で歌うの?”
“オーケストラと歌うの?”
“歌うと、いくらもらえるの?”
“YouTubeにでてるの?”
“何回くらい歌うの?”

そのうち“ちょっとだけでいいから歌ってみて! 何でもいいよ”ですって‥

この少年たちは、私をからかっているのか、まじめに聴いてみたいのか‥
恥ずかしいというかなんと言うか、またよりによって、浮かんできたのは「わたしは恋をしているかどうかわからない」なんて、あるオペレッタの1節でした。

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歌い終わると、少年たちは一生懸命拍手してくれました。その後すぐ来た電車のところまで、雨に濡れながら、エスコートしてくれ、これまた熱心に手を振ってくれました‥

イタリアの、ある有名なテノール歌手は、舞台を降りてからも至るところで歌いまくったという伝説を聞いたことがありますが、それくらい常にはじけているということは、舞台人としてとても大切なことなんだろうなあ、と思います。

少年に囲まれて、どぎまぎするようではまだまだ修業が足りないのですねえ‥

昨日買い物をして、家に帰っていると、向こうから歩いてくる二人の少年が、わたしに手を振りながら「こんにちわ」とあいさつして来ました。

わたしもあいさつを返しながら、(こちらでは、見知らぬ同士でも、特に田舎では、あいさつしあうことは良くあることなのです)手まで振って、なんて人なつこいのだろうなんて、ぼんやり考えていたら、

“駅の歌い手さんだよね!”と片方の少年が言ってくれて、「ああそうか、あの中にいたんだ」と思いました。

“ここに住んでるの?”と尋ねるので、“そうだよ。またね”と答えると“うん、またねえ!”と元気よく返事が返ってきました。

今度はいつ会えるでしょうか‥?

それにしても子供たちって、見知らない人にでもあんなに質問するんもんなんですね・・・ちょっとびっくりしました。

みなさま、どうぞお元気で!

森野由み

  • ご無沙汰してます。音楽部でお世話になった豊田です。
    今日さだまさしの「主人公」についてブログを書いたとき、
    先輩のことを思い出しこちらに参りました。
    由み先輩のご活躍、自分のことのようにとっても嬉しく思ってます。
    子どもとのやりとり、とっても素敵ですね。
    私も今子とも相手の仕事をしているので、言葉は違えどその光景が目に浮かぶようです。
    これからのご活躍をお祈りしてます。
    http://ameblo.jp/chappy1414/ -- 豊田(旧姓) 2011-11-23 (水) 02:36:35
  • 豊田さん
    メッセージありがとうございました。思い出してくださってありがとうございます。
    とても懐かしいです!
    お元気そうで何よりです。HPもみました。楽しいブログですね。メッセージを書きたかったのですが、よくわからなかったので、ここにお返事します。お時間があったらメールくださいredaktion@yumi-wien.com  -- もりのゆみ 2011-12-13 (火) 11:39:36

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10月のお便り

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皆様 お元気でいらっしゃいますか?

こちらは素敵なお天気に恵まれた日が続いています。
時間が空くとやさしい陽射しに誘われて、よく散歩をしに出かけています。

みなさまはいかがお過ごしでしょうか?

先日、知り合いを訪ねて、ウィーンへ出かけました。
知り合いは、ウィーンの中心地からはずれた緑の多いところに住んでいます。
そこまで市電を乗り継いで行くのですが、久しぶりだったので、電車に乗ってから乗り換えの停留所を確かめていました。

すると、あるおじいさんが“どこへ行くの”と声をかけてくれました。

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行き先を伝えると、“私が教えてあげるから、ここにすわってなさい。”と言われました。荷物が違う席に置きっぱなしになっているので、私が“荷物を取ってきます”と伝えると、“じゃあ、そのままそっちに座っていて・・”と言って、しばらくすると、おじいさんがこちらへ移ってきました。

移動させてしまって悪かったなあと思っていたら、“ちょうどよかったよ。あそこは窓が汚くてね。だれがやったのか・・”と深くため息をつきました。

乗り換えの停留所までは髄分と時間があって、おじいさんは私の職業を訊くので、“歌い手ですよ”と答えると、“そうかい! 私もピアノをやっていたんだよ”と話しはじめました。
コンサートピアニストとして、15年間クラッシックを学びながら、ウィーンのオペレッタなども学んで、アルバイトでいろんなところで演奏していたそうです。

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戦争から戻ってきたウィーンは、アメリカ、イギリス、フランス、ロシアの兵で4つに分けられたそうです。それは時々耳にしていた話でしたが、どこからどこまでの区を、どの国の兵士たちが陣を取っていたかというのは、初めて聞きました。 

“とにかく食べるものがなくてね・・・グリーンピースの乾燥で、半分に割ったものがあるんだけど、それを、ソ連軍の兵隊から手に入れてね、一晩水で戻して、次の日たいて食べたものさ。 お金なんてものもなかったからね、時計とか、持ってるもので、食べ物と交換してたんだよ。(ウィーンの23区にある自然公園との境になっています)壁が戦争のためにこわれちゃって、いのししとか、鹿なんかが出てきちゃってね・・・パーンと鉄砲を撃って脅すと、また森に帰っていくから、そうやりながら、壁をずっと直していったもんなんだ。”

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お話を聴いているうちに、このおじいさんが、生きていらした長い長い時間が、大きくて立派な背中の後ろに見えるような気がしました。

第2次大戦後、たった60数年の間に、人々の生活は信じられないほど変化してきたのだなあ、と思います。私の祖母が生きてきた時代の写真をみても、今とは、全然、違うし、話を聞いていても、また自分自身の子供のころを振り返ってみても、今の生活がどんなに便利になったことか‥

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異文化であるウィーンのことは、来てから10数年しか知りませんが、私が来たころは、古い古い石畳が普通で、ヒールのある靴なんかではとても歩けたものではありませんでしたが、いまではすっかり舗装されて、歩きやすくなりました。

いまもところどころ、この中世の時代を思わせる石畳は見かけますが、ずいぶん少なくなったものです。 

ただ、今以上にのんびりしていて、人々も、もっとのどかな感じがしたような気がします。 私は忘れっぽくていろんなものを置き忘れたりしたこともよくあるのですが、思い出して取りに行くと、必ず見つかりました。

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残念ながら今は、よほど運がよくないと出てこないようですし、逆にものを取られてしまったり、ということも聞きます。 

便利になった一方で、失われているものも少なくないのかもしれません。

文明が長続きすれば、変化は当たり前だとは思うのですが、でもこのおじいさんが精一杯作って支えてきたものを、そして思いを、簡単に忘れてはならないと、しみじみと思いました。

皆さまのご健康を祈りつつ‥

来月11月から12月にかけては、神戸と東京でリサイタルを行います。皆さまとお目にかかることを、楽しみにしています。

PS:今回も写真は友人のFeriさんからご提供いただきました。しかし、Feriさんは、本当に色々なところを撮っていますね。

森野由み

  • 森野由みさま♪先日は、ウィーンのステキなポストカードとお便りをありがとうございました。
    お母様を通じて、由みさんの活動を知り、音楽と無縁の世界に居た私が、由みさんのコンサートに行く機会を得、音楽の奥深さにふれました。何にでもきっかけがあるものですが、由みさん、お母様にはとても感謝しております。いつからか、由みさんのホームページを知り、支援する会にも入会。1ファンとしてこの毎月のウィーン便りがとても楽しみで、まさか、このコメントのコーナーで由みさんにコメントしている自分が夢のようです!!
    今朝はイベント情報を見て、11月に北九州とお知らせがありました。今からとても楽しみにしています。ゆみこ -- 原 由美子 2011-10-09 (日) 11:23:25
  • 原様 お便りありがとうございます。 先日はこちらこそ、のどにいいおいしいあめを頂きありがとうございました。お湯に溶かして、ハーブティーにもなる飴なんて画期的ですねえ!
    こちらはずいぶん寒くなり、田舎では霧が出ています。
    日本もずいぶん寒くなったと聞いています。どうぞお体にはお気をつけて!
    またお目にかかれるのを楽しみにしつつ・・・  -- もりのゆみ 2011-10-11 (火) 05:59:33

9月のお便り

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皆様 お元気でいらっしゃいますか?

こちらは今までの冷たい夏がうそのように、高い空に太陽がまぶしく輝き、暑い夏の日が戻ってきています。

私が住んでいるこの付近は、恵まれた自然を利用して、有機・無農薬野菜の栽培に力を入れる農家がたくさんあります。数年前に隣の村にそんな農家を見つけ、夏野菜や、豆類、注文してから挽いてくれる小麦粉などを配達してもらっていたのですが、そこのおじいちゃまが病気になってしまい、人手が足りないということで、以来、仕方なくスーパーの野菜を購入していました。

あるとき、チロル地方では、その土地の農家が集まって、新鮮野菜の定期宅配を始めてブームになっていると読みました。それで、この辺にもそういうシステムがないか探したのですが、残念ながら見つかりませんでした。

今年の春ごろインターネットで、この周辺の「ハイキングコース」について調べていたら、たまたま農家の野菜宅配のサイトを見つけました。

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調べてみると、うちの方へ配達する農家もありました。喜び勇んで、申し込みをしました。 それ以来、週に一度、野菜かごが届けられます。中身は週ごとに違います。夏が近づいてくると、野菜の新鮮さがぐんと上がった感じで、たった今、畑から採ってきたような、新じゃがや新たまねぎなどもあって楽しさは倍増です。

カラフルなトマトやピーマンもおなじみの赤や黄色のほかに、この前はなすびのように黒いピーマンも入っていました。切ると中は緑でした。珍しいですよね。
ヘチマのように大きいズッキーニや、甘ーいトウモロコシ。

日本では、セロリというと、茎と葉の部分ですが、こちらではセロリの根をよく食べます。まるいボールのようなかたちで、切ると中は白く、生で食べると、茎の部分より、やさしい味がします。サラダとしてもおいしいし、大きく切って、スープで煮込んでもおいしいです。そのほかにも元気いっぱいの肉厚のレタスとか、ねぎやキャベツもまだ土がついた状態で、配達されます。

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この「野菜かご」が来るようになって、お天気の移り変わりが非常に気になります。

特に今年のように、2~3日暑くなったかと思うと、嵐がやってきて、急に気温がさがるといったお天気の繰り返しだと、野菜はちゃんと育つのだろうかと‥、嵐が来て、強い風が吹くたびに、心配していました。

ここにきてやっと、いいお天気に恵まれているので、ほっとしています。

先週末、去年初めて行って楽しかった、1年に3日しか開いていない「神父さんのホイリゲ」が、ちょうど開いていたので行ってみたら、去年と違って、びっくりするほど、空いていました。

しーんとした中庭のテーブルについて、シャンパンのような風味の「神父さんのワイン」を味わっていると、神父さんが通りかかって、「よく来たね」と声をかけてくれました。 「今年はずいぶん人が少ないですね」と言うと「やっといいお天気になったからね、みんなプールにいってるんだよ」と笑っていました。

恵みの太陽を必要とするのは、野菜たちばかりでなく、人もみな同じなんですね‥

日本は、残暑がまだ厳しいことと思います。どうぞ、お体に気をつけてお過ごし下さい。

森野由み

  •  ゆみさん、LAも最近とても良いお天気に恵まれ快適です。
    夏には、色々とお世話になりました。感謝申し上げます。今でも忘れられないのですが、
    ザルツブルグで食べた、ジャガイモが最高でした。やはり土が良いのでしょうか?最近主人も、お野菜だけを使った、お寿司なども教えています。きっとウイーンの、お野菜を使ったら
    もっと美味しいお寿司が出来そうですね!キノコ類も、ちょっと火を通して、握りにすると美味しいですよ!何時か、主人が握りに行きますよ! -- 松田 2011-10-04 (火) 01:17:56

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8月のお便り

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皆様 いかがお過ごしでいらっしゃいますでしょうか?

今年、こちらは、夏らしい太陽がサンサンと輝く日がとても少なく、今日もまたまるで秋のように肌寒く、雨がしとしとと降っています。

快晴の日が何日か続いたかと思うと、嵐がやってきて、ものすごい量の雨が降る‥というお天気が交互にやってきました。このお天気のせいかどうか、よくわかりませんが、なぜか今年は庭の果物がよくなりました。

今、うちでは杏がたくさんなっています。いつもの年より、実が大きく、とても甘いです。杏のほかには、スグリの赤い実がおいしくなってきているところです。
プルーンや、ちょっとさくらんぼに似たようなヴァイクセルといわれるもの、木苺(ブラックベリー)やラズベリー、なども至るところで見かけます。 特にラズベリーや木苺などは、野生になっていて、これからの時期、森の散歩の途中や、山登りの休憩にさわやかな甘さを楽しむことができます‥

さて、あまりにもたくさんの杏ができたので、ケーキでも焼いてみようかという気になりました。私は甘いものが大好きですが、自分でお菓子を焼くことはめったにありません。でも、こんなにもたくさんのやさしい香りのする杏を目の前にすると、こちらのカフェやお菓子屋さんで、よく見かける杏ケーキを焼いてみようと、お菓子の本を開いてみました。 

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選んだのは、杏のタルトと杏ケーキ。タルトの方は北フランス地方のお菓子として有名なフライパンを使って焼く「TARTE TATIN」-タルトタタン風のもの。お菓子の本にはりんごのほかに洋梨、もも、あんず、プルーンなどでもおいしくできるとありました。

杏ケーキの方はバター、砂糖、卵などをあわせたケーキ生地の上に、杏をのせて焼くもので、普段よく見かけるタイプです。でもせっかく自分で焼くならと、粉を少なくし、その分砕いたアーモンド、へーゼルナッツ、ダークチョコレートを合わせるという、基本の生地を応用したものにしようと決めました。たまたま家に、どちらも買い置きがあったので、ちょうどよかったです。

ケーキの生地をあわせているうちに、ふと、リヒャルト・シュトラウスの「悪いお天気」という歌を思い出しました。これはハイネの詩につけられた歌ですが、雪交じりの激しい雨が降る中、お母さんらしき人が道を歩いているのを、家の中から、詩人が見て、“きっと小麦粉やバターに卵を買ってきたに違いない。あの娘のためにケーキを焼くんだな・・”というくだりが、なんとも温かで楽しそうなワルツにのって演奏される部分あります。

この歌を聴くと、どこからか、甘いケーキの香りがしてきて、雪交じりの雨は忘れて、暖かい部屋で、椅子に背をもたれて、ゆったりできそうな気がしてくるから不思議です。「悪いお天気」なんてすっかり忘れて、あとはおいしいケーキを待つばかり・・・なんて。

さてさて、私の焼くケーキの香りが、窓の向こうで、ますます強くなってきた冷たい雨を忘れさせてくれるでしょうか?

日本も天候が不順‥というニュースが入っていますが、皆さま、どうぞお元気でお過ごし下さい

森野由み

  • 森野さん!大変ご無沙汰しています。ウィーンでお世話になりました稲森(吉村)奈津子です。
    毎月のお便りや歌のLibrary、とても楽しみにしています。お便りを読む度に、ウィーンの香りが懐かしくなります。
    8月の福岡での演奏会でご一緒できるのを心待ちにしています。森野さんの歌が私は大好きです。私の音楽仲間も、森野さんの歌をとても楽しみにしていますよ。
    どうぞ、無事に福岡へお帰り下さいね!福岡は猛暑ですよ~! -- Inamori 2011-08-08 (月) 22:49:33
  • なっちゃん! お便りありがとうございました!返事が遅くなりごめんなさい。
    私もなっちゃんに久しぶりに会えるなあと、ずっと楽しみにしています!!!!!
    こちらは昨日、おとといとやっとお天気になったかと思ったら、今日はまた雨で、寒いです。
    もし、お時間があったら、redaktion@yumi-wien.com までメールください。こちらから改めてご連絡いたします。 -- もりのゆみ 2011-08-13 (土) 19:34:15

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7月のお便り

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みなさま、お元気でいらっしゃいますか?

こちらは、このところの雨で、一昨日から、気温が下がり、夏の格好では外にいられません。 天気予報によると、これも温暖化現象の一つだそうですが‥

今年は庭にある「サクランボ」の木が豊かな実をつけたので、ずいぶんたくさんの「サクランボ」を頂きました。これからは「アンズ」や、ビタミンCが豊富な「スグリの実」が楽しみです!

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さて、最近、ウィーン・ホーフブルク・オーケストラ(Wiener Hofburg-Orchester)がウィーン王宮で行っているガラコンサートに出させていただいています。ウィーンならではの音楽プログラムに、ちょっとした面白い演出もあり、ホールいっぱいのお客さまも沸いています。

出演者には、東京の新国立歌劇場で上演されたワーグナー「ニーベルンゲンの指輪」でご一緒した宮廷歌手のオスカー・ヒレブラントさんがいらっしゃいました。まさか、こうしてまたご一緒できるとは! 楽しい再会になりました。

このコンサートは、王宮内にあるレドゥテンザール(「舞踏の間」、Hofburg Redouten-Saal)か、王宮の中で一番大きいフェストザール(「祝祭の間」、 Hofburg Fest-Saal)で行われます。一般のコンサートホールでは、楽屋で音だしや声だしができるのですが、ここでは楽屋が、ホールにとても近いため、出演者は近くの部屋で行っています。

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「近くの部屋」といっても、普段、観光でご来場されるお客さまが足を踏み入れることのないような所でちょっとわくわくします。

調度品の素敵なサロンや、鏡の間や、ちょっと薄暗くて秘密が隠されていそうなお部屋、豪華絢爛なシャンデリアや、絵が飾られたサロン、またそこから見える町並みも新鮮で、この「秘密のサロンめぐり」が出演前の私のちょっとした楽しみになっています。

ある日、お化粧だけ済ませて、ドレスに着替える前に、この「わくわく声だし探険」へと乗り出しました。人気のない、すこし薄暗い廊下を渡った一番奥に、素敵なサロンへ通じる大きな扉があります。重い扉の金色の取っ手を押して、中へと入っていきました。

すると背後で、“バタン”と大きな音をたて、扉が閉まってしまいました。慌てて戻り、もう一度扉を開けてみようとしたのですが、これが!!!! 開きません 取っ手もびくともしないし、押しても引いても、開く様子がありません

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“これは大変”と、ほかの部屋に通じる扉を試したのですが、この日に限って、どの扉も鍵が閉まっています。監視カメラにむかって手を振ってみましたが、誰も気づいてくれる様子もないし、守衛さんに通じると思われるインターフォンのボタンも押してみましたが、応答はありません‥ 

“コンサートに穴をあけたりしたら‥”という考えに襲われました。

開演まで、あと15分しかありません。 必死に扉をたたいて人を呼びました。
“ハロー、誰かいませんかあー?”でも、もっと緊急さをかもし出さなくては、と思い叫びました “Hilfe ヒルフェ!!!”(ドイツ語で、“助けて”という意味です。)そのうち、観光客はドイツ語がわからないかも‥と思い、“ヘルプ ミー!!!”と、半ば狂ったように、叫びながら扉をたたき続けました!!

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しばらくすると、足音がこちらへ近づいてきて、ガチャと鈍い音をたてて、扉が開きました オーケストラの団員の一人が、私の声に気がついて、開けてくれたのです 

なんという幸せ!!!“救ってくださってありがとうございました”と、その方の手を握り締めて厚くお礼を言いました。 あちらは、普段着に、ものすごいお化粧をしたアジア人に少し驚いたのか、“お客さん‥ですか?”ときかれました。歌い手だということは、その後すぐにわかってくださって、なぜ私がそんなところにいたかも理解してくださったようです。今思えば、なんとも恥ずかしい限りです。

願わくば、その方が寡黙な方でありますように‥

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それにしても、とんでもない経験でした。何しろ「冒険」から解放されたのが、コンサートの始まる10分くらい前でしたから‥ 慌てて楽屋へ戻り、すばやく衣装に着替え、ばたばたステージへ上がったのは、言うまでもありません。

「わなわな感」と「安心感」の狭間にいる妙な感じが残ったまま、第1曲目のソロを歌い始めたのですが、不思議なことにこの日、この曲が終わった後、お客さまからたくさんの“ブラヴォー”をいただき、びっくりしました。 

それ以来「廊下の向こうの大きな扉」には近づいていません。

みなさま、夏を元気でお過ごしになられますように。

森野由み

  •  初めまして!来月そちらに初めて行きます。
    情報を探していましたら、こちらに行き着きました。
    そして、びっくり! 私も北九州出身です。
    今は、アメリカのロサンゼルスに在住です。
    先日、ロスの小倉祇園太鼓のメンバーさんが、パーティーに参加下さり
    懐かしい太鼓の音を聞きました。今年初めて海外から参加するそうで
    明日、帰国されるそうです。8月12日から3泊する予定です。お会いしたいですね。 -- 松田 2011-07-08 (金) 18:03:21
  • 松田さま! 祇園太鼓いいですよねえ!! おたよりありがとうございます! ロサンゼルスはまぶしい太陽と海、って開放感にあふれた感じで素敵ですね。 ウイーンへいらっしゃるとのこと、私もぜひお目にかかりたいです! 
    redaktion@yumi-wien.com にご連絡先などお知らせ頂ければ幸いです。  -- もりのゆみ 2011-07-10 (日) 04:05:54

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6月のお便り

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みなさま、お元気でいらっしゃいますか?

こちらは暦の上では夏が始まりましたが、夏らしい暑い日と、嵐がやってきて肌寒い日が交互にやってきています。

今年は、オーストリアを代表する作曲家グスタフ・マーラーの没後100年に当たります(ちなみに命日は5月18日です)。

ARTE(アルテ)という文化番組をよく組むテレビ局が、今年はマーラーイヤーということで「ウィーン特集」という番組を組んでいます。マーラーが生きていたころ、つまり、19世紀末のウィーンの人々の暮らしぶりや、文化・建築・芸術がどんなであったかについての番組です。

この19世紀末というのは、色々なものが大きく動いていった時期で、「世紀末のウィーン」というと、たそがれの光と影のイメージがあります。

ウィーンの町にはこのころに残された建物や、家具などが多くのこされていて、そのころの人々の暮らしが意外と近い感じがします。

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当時の文化は東洋文化の影響を強く受けていたようで、後期ロマン派と現代音楽の間を生きたマーラーの音楽にも東洋的な要素もあり、独特な響きがします。

今年の秋の日本でのコンサートで、このマーラーの歌曲を取り上げてみようと、楽譜をよんでいたところ、ちょうど、テレビ局ARTEで、リッカルド・シャイー指揮、コンセルトへボウ交響楽団で、マーラーの交響曲第8番の演奏を生放送しました。 

後に「千人の交響曲」と呼ばれるほど、大掛かりなこの交響曲を聴ける機会はめったになく、その素晴らしい演奏とマーラーの独特な音楽の響きに、頭の中はマーラーの音楽で一杯で、ほかの事はすっかり消し飛んじゃった感じです。
まるで魔法にかかったみたいです!

実は学生のとき、私は“私の時代が必ず来る”と言ったというマーラーに夢中になり、マーラーの音楽ばかり聴きあさり、ウィーンへ留学したときも、抱えてきたのはマーラーに関する本や伝記でした(といっても文庫本ですが‥)。

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交響曲8番は、劇的で、宇宙的な感じがします。最後の合唱がうたう「Alles Vergängliche -すべては移り変わっていくもの-」は ゲーテのファウストから取られた節ですが、マーラーの音楽にはその言葉を悟り、その悟りを超えた壮大さがあります。

リッカルド・シャイーの演奏は、地球の核からものすごいエネルギーが立ち上がってきて、天へと高くのぼって行こうとするような勢いがありました。

思考、時間、時空、すべてを越えて、さらに腕を大きく広げ、空へと高く舞い上がっていくような、そのような演奏でした。

ゲーテとマーラーは生きた時代も、環境も違いました。
それでも人と人とがつながって、思いもよらなかったことが成し遂げられているということへの、この驚異と感嘆をどう表現したらよいのでしょう‥

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ゲーテやマーラーのような芸術家は、天才で、そのつながりを、芸術家として、作品の中に残しました。そうした作品を鑑賞する私たちもまた、時間を越えてつながっているのだと思うと、人に与えられた可能性がいかに巨大かを思わずにはいられません。

そして、それは日常の平凡な生活の中にも形を変えて存在するものだろうということを、改めて思い返す今日この頃です。

なお、2枚目と3枚目の写真は5月18日に国立歌劇場で行われた「マーラー没後100年記念コンサート」のライブビューイングの模様です。このときは、交響曲9番がダニエレ・ガッティさんの指揮で演奏されました。

みなさまのご無事を祈りつつ‥

森野由み


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5月のお便り

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みなさま

日本では、ゴールデンウィークが終わりましたが、みなさまはいかがお過ごしになられたでしょうか。

うちから鉄道で約1時間で、SOPRON-ソプロン-というオーストリアの国境に近いハンガリーの街に着きます。
いろんな物が、オーストリアよりも安く手に入るので、たくさんのオーストリア人が買い物にやってくることもあり、この街では割合、ドイツ語が通じます。

国境の手前のオーストリア側の駅から10分も離れていないのですが、様子はガラッと変わります。第2次世界大戦後、共産圏の国だったので、建物や町並みなどにその名残りがあるのはわかるものの、風景もなんとなく違う印象です。地続きなのに、不思議です。

森もなんだかうっそうとしていて、素朴さであふれているというか‥ほっぱらかされているというか‥

さて今日は、知人が「ハンガリー独特の居酒屋」に連れて行ってくれました。

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旧市街の奥にある、ちょっと中世の香りがする一角の建物の中の地下にあるお店でした。ひんやりとしたレンガで囲まれた部屋に長いすやテーブルがあって、しかも薄暗い感じです。たくさんの人たちがビールやワインを飲んでいました。

ありとあらゆるお酒がおいてあり、有名な地ビールの「ソプロンビール」や「バラツクパリンカ」と呼ばれる杏風味の蒸留酒など、色々とありました。

食べ物といえば、「おつまみ」のようなもので、色々な種類のチーズの盛り合わせとか、自家製のさまざまなタイプのサラミのスライスが、どばっと盛り合わせで出てきました。これまた素朴なパンが山盛りで付いてきます。

脂身がぶつぶつと混ざった太いサラミのスライスを見て、留学して初めて遠距離で出掛けた演奏会のことを思い出しました。あれはミシュコルツという、やはりハンガリーの町でした。

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ミシュコルツはハンガリーの首都ブタペストに次ぐ第2都市だそうですが、ブタペストからさらに列車で何時間も東に行ったところにあり、ドイツ語はもちろん、英語も通じない街でした。

ホテル(‥といっても、日本で考えるようなにぎやかなものではなく、建物が大きく、空間だけはやたらと広いのですが、殺風景で売店もなく、あるのはレセプションと思われるコーナーがぽつんとあるばかり‥)で、ミネラルウォーターを手に入れるのも大変で、ボディランゲージで必死で伝えました。

今、思えば、あちらも困ったでしょうねえ。なにしろ、珍しいアジア人がレセプションで、絵を描いてみたり、下手なパントマイムもどきを披露してみせたのですから‥結局は私を巨大な厨房の冷蔵庫に連れて行ってくださったので、ほしいものは手に入ったのですが、思わぬところにエネルギーを使い果たしてぐったりでした。

気を取り直して、ホテルの隣にあったレストランで、夕食を頼んだのですが、これまたびっくり 何を頼んだかもう覚えてないのですが、どどーんとお皿の真ん中に高々とのっていたのが、厚さ2~3cmくらいの脂身の真っ白なステーキでした。ぎょっとしました‥

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そして次の日の朝、朝食としておいてあったお皿をみて、これまたビックリ
何種類かのサラミのスライスがきれいにお皿を覆ってました‥
みただけで、おなかも気持ちも一杯になった記憶が残っています‥

あの時の公演の後、楽屋に何と若い日本人の女性の方が訪ねてきてくださいました。日本からはるかに離れた見知らぬ街で、日本語でお話できるなんて、とっても感激でした。しかもちょっと心細い‥なんて思っていたので、元気一杯でにこにこしているご様子にとても感動しました。

その方は、日本から派遣されて、一年くらい前から子供たちに日本語を教えにきているのだと話してくださいました。 お世話くださった劇場の方もその女性を知っていて、彼女のハンガリー語は完璧だとおっしゃっていました!!

その後も何度か会ったり、お手紙のやり取りをしたりしましたが、今ではどうしていらっしゃるでしょうか‥たしか大阪出身で、日本にもお帰りになられたりしていたようですが‥

家に帰ったら、前の住所録をだして、住所を探してみようと、ちょっと薄暗い「ハンガリー独特の居酒屋」で、ヘビーな自家製サラミをつまみながらそんなことを思いました。

それにしても‥こういうのがお好きなんですかね‥ハンガリーの皆さまは‥

皆さま、どうか健康な食生活をお送りください‥

森野由み


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4月のお便り

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みなさま

春、春、春です!!

あたたかで、とてもやわらかい日差しの中、春のおとずれを知らせる花が至るところに咲いています。

ちょっと、春に挨拶にいってきました。

春の香りを真っ先に伝えてくれるのは、なんといってもスミレです。
ゲーテの「すみれ」という詩にモーツアルトが作曲した歌曲が有名です。
スミレを見ていると、「主人公」である「すみれの花」が秘める思いを吐露するこの曲を思わずにはいられません。

ふつうスミレは「菫色」なのですが、珍しい白いスミレを見つけました・・・どう見てもスミレにしか見えないのですが、別の種類なのでしょうか?

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去年の春、鉢で買ってきたスイセンを室内で楽しんだ後、ゴミ箱に捨ててしまうなんて、しのびがたかったので、土に返すという思いで植えてみました。
なんと、芽が出て、花が咲きました
受け継がれた命の新たな息吹です!!

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森の小径を歩いてみました。
小さな芽や葉が出ています。なんて小さくて可愛いのでしょう
まだ芽も出ていない木々もなんとなく、すくっと伸びた気がします。うーんと体を伸ばして、ぱああっと喜びの声を上げているような感じです。

小川も季節の境めの濁ってごうごうと流れていたのもすっかり落ち着いて、穏やかに流れています。

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ゲーテと同じドイツ出身の詩人メーリケの詩に「Er ist’s」というのがあります。日本語では、「時は春」とか「春だ」とか訳されるようです。

この素敵な詩に魅せられた作曲家が曲をつけています。春風がさあっと吹き渡るようなヴォルフの歌曲が私は好きですが、今日みたいな、本当にのんびりとして、「春の妖精」がゆっくり気ままに、すべての生きるものの目を覚ますように舞っているような日には、シューマンの曲が似合うなあ、なんて思います。

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「今日みたいな・・」で、ふと思い出しました。

たくさんの人に愛されるウィーナーリートを数多く残した、オーストリアの作曲家ロベルト・シュトルツが、「今日みたいな日には」というとても素敵なワルツ曲を残しています。
私もこの曲が好きで、時々機会があるときには歌わせていただいています。 散歩しながら、この歌は、まさに“今日のような日のためにあるのかもしれない”と、思いました。

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「今日みたいな日には、ゆったりと幸せに身をゆだねよう。
 今日みたいな日には、一日中お日様を仰ぎ見ていよう。

 みんなの笑い声で、世界が満たされる。
 ああ、この世はなんて素晴らしいんだ'''!'''
 この世はなんて素敵なんだ'''!'''
 朝、目を覚ますとき、生かされているという喜びに心から感嘆の叫びを

上げるのだ。

 今日みたいな日には、「いやだ」なんて言葉は存在しない。
 こんな日には、こんな素敵な日には、全身で幸せを感じようじゃないか'''!'''
心配ごと、悩みごとでふさぎこむのは、体によくないよ。 
人生、果敢に前に進むのみ'''!''' それが健全だよ。

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眉間にしわがよるほどの「苦労」が襲ってきたって、うーんと背を伸ばして、にやりと笑ってやろうじゃないか'''!'''
力に満ちた太陽が私たちに見方をしてくれるはず。

「苦労」は太陽のまぶしい光にかき消され、幸福だけが光り輝くのだ                        
 
 今日みたいな日には、ゆったりと幸せに身をゆだねよう
 今日みたいな素敵な日には、全身で幸せを感じようじゃないか

みなさまのご無事とご健康を心からお祈りしております。

森野由み


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3月のお便り

皆さま、お元気でいらっしゃいますか?
日本はずいぶん暖かくなったそうですね。こちらはまだまだ寒いです。 
でも、南オーストリアのブルゲンランド地方には、有名な「コウノトリ」が渡ってきたそうです。

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コウノトリは、春を告げる鳥。だんだんに、この寒さも緩んでくるのでしょうか…

ところで、皆さまは、ブリューゲルという画家とご存知ですか?

この時期、特に思い出すのが、ブリューゲルの絵です。このあたりを散歩すると、まるでブリューゲルの絵の中を歩いているような風景に出会います。

木の葉がぎっしりとしき詰まった森。その向こうには荒々しく流れる川。雪が解けたのか水はなんともいえずにごっていて、冷たい気流と少し暖かい気流が空で混じっています。遠い山にはまだ雪が積もっているのが見えます…

ウィーンに留学して、真っ先に行ったのは、ウィーン美術史美術館でした。
その素晴らしい建物や膨大なコレクションはとても有名です。ここにたくさんのブリューゲルの絵があります。

ブリューゲルは庶民の四季折々の生活を描いた作品を多く残しています。 
真冬にスケートを楽しんでいる人々や、子供たちのきゃあきゃあ叫ぶ声が聞こえてきそうな絵などを見ていると、自分もその場に一緒にいるかのような気がしてきます。

このごろ本当に感心するのは、「この風景ブリューゲルでみたなあ」と思うことがよくあることです。 ブリューゲルの生きた時代は特に冬の厳しい時代だったらしいのですが、今年はこちらも冷たい日々が続き、このあたりの大きな湖もすっかり凍ったようでした。 

ある日列車でその湖の近くを通ったとき、いつもとは違う光景に「はっ」としました。 湖の上でたくさんの人たちがスケートをしているのです。
遠目にもその人たちが楽しんでいる様子がわかるようで、ほのぼのとした雰囲気でした。ひたすら真っ白な雪の光景が平和な感じをプラスしていました。ブリューゲルの絵もまさにそんな雰囲気です。

風景を描いただけなのに、そこに漂う空気や人々の息遣いまでも描ききったブリューゲルは本当に天才なんだなあと、思います。

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そして、その頃も、今も時代を超えて、変わっていないものもあるんだなあと思うと、目には見えない大きな力に感謝したい気持ちになります。

去年の夏だったか、私の住んでいる村の教会の「神父さんのホイリゲ」という催しがあり、楽しみに行ったことを書きました。

先日、同じところで、今度は「神父さんのカフェ」が催されていたので、またまた、わくわくしながら行ってきました。

今回も教会の信者さんや村の人たちが持ち寄ったおいしそうなお菓子が、所せまししと並べてあって、選ぶのが大変です。

中ほどに座ったお客さんたちはお互いに顔みしりが多いらしく、本当に沸きあいあいとしています。 このにぎやかな雰囲気を味わいながら、私はまた一枚のブリューゲルの絵を思い出していました。

「農民の婚礼」1568年頃

願わくばこの穏やかさが未来においても、変わることがありませんように!!!

森野由み


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2月のお便り

皆さま、お元気でいらっしゃいますか?

こちらはマイナス7~8度という、とても寒い日々が続いていましたが、昨日あたりから冷たさが和らいで、小鳥たちも声高くさえずっています。

クラプフェン クリックすると写真が大きくなります

こんなに寒いと、なんだか甘いものがよく食べたくなります。

ウィーンのお菓子はおいしいものがたくさんありますから、選ぶのに困ります。ケーキ屋さんのカラフルなケーキのほかにも、パン屋さんで売られているフルーツが盛りだくさんにのったデニッシュや、日本にはなかなかない、プルーンジャムの入ったパン、 クルミやケシの実をふんだんに使ったパンなどもたくさんあります。

そんな「ウィーンの楽しみのひとつ」を皆様に少しでも味わっていただきたいと思って、薫り高いコーヒーとおいしいお菓子を、休憩中にお出しする「お楽しみコンサート」を、日本で催すこともあります。そういう時は、できるだけたくさんのお菓子をトランクに詰めます。

でも、残念ながら、持って帰るのが難しいものもあります。

その中には、特にこの時期おいしい「クラプフェン(KRAPFEN)」というのがあります。まん丸で、一見ドーナツみたいで、粉砂糖がかかっています。
中には、ラム酒でのばした杏のジャムが、入っています。生地がイーストで膨らませてあるので、ふわっふわっなんです。

このジャムがお店によっては、入り具合が違うんですね。ちょっとしか入っていないと、生地ばかり食べることになって、ちょっとつまらない感じです。ケーキやさんやいろんなパンやさんなど、いろいろ試してみましたが、私は「マン」というパン屋さんのクラプフェンのファンです。ジャムがたくさん入っているし、そのふわふわさがたまらない感じです。 

このクラプフェンは出来立てが一番おいしいといいます。 パン屋さんで買ってもその日のうちに食べないと、次の日には硬くなってきて、しぼんできてしまいます。

それが理由で、日本へは持って帰れないんです・・・

みなさんに、おいしいクラプフェンを味わっていただけないのはとても残念です。

旅行で、ウイーンにいらっしゃることがあったら、是非、このクラプフェンをお試しになってみてください。

クラプフェンは今から約200年くらい前に、ウィーンのある舞踏会で初めて振舞われたそうです。あまりにもおいしかったので、あっという間にウィーンの町に広がったといいます。そのせいか、クラプフェンって冬の寒い時期、舞踏会の盛んな時期のものというイメージがあります。でもこのごろは、チェーン店のパン屋さんでは、夏のものすごく暑い時期は除いて、よく見かけるようになりました。

いつかドイツにいた時に、「ベルリーナー」というクラプフェンを見かけました。
「ベルリン風」って事なんでしょうか・・・中身のジャムが、ラズベリージャムでした。ところ変わるとなんとか・・・って言うことですね。

友達がウィーンへやってくると、観光のほかに、食べてもらいたいものが盛りだくさんで、たいへんです。特に甘いものは「あれもこれも」と、食べるのにも、忙しい感じです。

この時期にウィーンにいらしたら、パン屋さんかケーキ屋さんで、ぜひ”クラプフェン、ビッテ!”と、おっしゃってください。 

“ビッテ! BITTE”は、この場合は“お願い”という意味です。

それでは、お体に気をつけてお過ごしください。なお、日本のお友達に聞いたところ、最近では日本にあるドイツやオーストリアのパンなどを販売しているお店でも売るようになったそうです。

私もクラプフェンを食べ過ぎないよう、気をつけます・・・・

森野由み


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1月のお便り

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あけましておめでとうございます!

みなさまは、お正月をどうお過ごしになられたでしょうか?

こちらは、元旦の日、太陽が光り輝く、素晴らしくいいお天気に恵まれました。
それから一晩にして、あたりは銀世界になりました。

雪で真っ白に覆われた庭へ降りていくと、いろんな足跡を見つけました。
このあたりは、しかがよく出るのですが、この庭にも、しかの親子がよく来ているようです。

こうして、雪が積もると、鹿たちが、どこをどう通っているのかがよくわかって、楽しいです。

鳥や猫の足跡もあって、にぎやかです。振り返れば、自分の足跡もしっかり刻印されています。

なんど、この道を行ったり来たりしたんだろうと思うと、その足跡がどんな風に見えるかも、想像もつきません。“見えないけれど、うちに訪ねてきてくれた友人たちの足跡も実はしっかりついてるんだんなあ”と思うとなんだか楽しい気がしました…

今年は、どんな足跡が残るのでしょうか…

雪が積もったので、近所の子供たちは、わいわい言いながら、そりすべりを楽しんでいます。

新年、明けての新しい真っ白な雪が、太陽の光に照らされて、まぶしく光り輝いています。

皆様にとっての2011年が、こんな美しい光と恵みで満たされた年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

森野由み

追伸:写真のもみの木は、私のうちの庭に立っている木です。この木の下に、時々、鹿が来ているようです。


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